HPC関連Cheat Sheetメモ

 高性能計算研究に役立ちそうなCheat Sheet(カンペっぽいお役立ちメモ)をこちらにメモっておきます。飽きるかめんどくさくなるまで随時更新。

SIMD関連

Python関連

卒研テーマ例)WebAssemblyベースの関数表

Abramowittz and Stegun, “Handbook of Mathematical Functions” (Dover)は,著作権フリーの媒体としてデジタル版が作成され,世界中にミラーが存在する(ここにも置いた)。このバージョンアップ版は,”NIST Handbook of Mathematical Functions” (Cambridge)で,Web版もあるが,動的に動かせるものではないし,任意精度に対応した数表を作る機能もない。WebAssembly化したMPFRとMPCをベースとした,Dover版のものから派生した動的関数表を作成する。カシオが提供するkeisanがこれに近いものであったが,動的に関数グラフを作成する機能は2024年12月現在停止されている。サーバサイドに負荷がかかる構成では長続きしないので,提供側の計算資源を提供せず,コードの著作権にも配慮したサービスとしたい。

kd-tklab.na-inet.jp has been updated in Ubuntu 24.04 LTS

 11月に予告した通り,このblogが置いてあるkd-tklab.na-inet.jpがUbuntu 24.01 LTSにアップグレードされました。再起動した後,このblogが読めずに焦りましたが,PHP 8.1→8.3になったところを修正して事なきを得ています。この記事も動作確認も兼ねて行っています。なってみるとなかなか快適ではあります(多分)。

 今後ともよろしくお願い致します。

卒研テーマ例)多倍長精度GMRES(m)法の性能評価

 Krylov部分空間法をはじめ,多倍長精度計算を行うことで丸め誤差が低減し,アルゴリズムの挙動が安定するケースは少なくない。本テーマでは,GMRES(m)法を多倍長精度化し,あれこれ弄ることでどのように性能が変化するかを見極める。

参考文献

高性能計算研究室サーバ更新スケジュール

 以下の日程で,高性能計算研究室の3台のUbuntuインスタンスをLTS 22→24に更新します。問題なく終わればすぐに再起動しますが,トラブルとクリーンインストールする羽目になる可能性がありますので,一応ご承知おき下さい。

 12/25(水) cs-tklab3 (minerva)のバックアップとアップグレード
 12/25(水) ~ 26(木) cs-tklabのバックアップとアップグレード
 2025年2/17(月) cs-tklab2のバックアップとアップグレード

 卒研が終わったところで,Node.jsサービスメインのcs-tklab2のアップグレードに取り掛かることになります。一応,卒業生アカウントは3月末までは維持しますが,その後は消すかも。

高性能計算研究室2024年度卒業研究・中間報告

 高性能計算研究室(幸谷研究室)では,4年生前期終了時点で「動作する」Webサイトを構築することを最低限の目標としています。最終〆切は7/25(木)ですが,現時点で動作可能なものをご紹介しておきます。

  1. SISTアニメ検索Webアプリ・・・20世紀から現在に至るまでのアニメ情報を収集し,検索しやすい形でまとめ上げました。懐かしいあのアニメから,最新のこのアニメまで,お好きなものが必ず見つかります。

2. 正確な評価に基づくグルメ情報の提供・・・食べログをはじめとするグルメ情報の評価は,厳しめの人から甘い人までごった煮状態です。そこで改めて正当な評価を行えるよう,評価者の評価値を精査し,採点しなおしました。一例を動画で紹介していますので,ぜひご来場してご覧下さい。

3. 求職・求人サイトの作成・・・マイナビ,リクナビよりも,求職者側,求人側にも使いやすいインターフェースを提供できるサイトを目指しています。

4. VALORANT攻略サイト・・・1500万人のユーザを誇るVALORANT攻略の情報を交換するためのコミュニケーションサイトです。

 詳細の解説は,静岡理工科大学・袋井キャンパス・研究実験棟543研究室前のディスプレイで行っています。幸谷は静岡駅前キャンパスに出勤していますが,オープンキャンパスご来場の際にはぜひご覧下さい。

「高性能計算」研究紹介

高性能計算研究開発用のサーバマシン(旧タイプ)

研究の概要

 現代のコンピュータは,スマートフォンからスーパーコンピュータまで,複数の処理を同時に実行できる「並列処理」の機能を備えています。コンピュータの頭脳に当たるCPUは,複数の命令を一括して実行できるAVX2やSVEをはじめとするSIMD(Single Instruction, Multiple Data)命令が利用できるコアを複数持つマルチコアアーキテクチャが普通ですし,もっと多数のコア(メニーコア)を持つGPUはAI・深層学習では必須のハードウェアです。我々の研究室では,特に多数の桁数の計算を必要とする条件の悪い問題に対応できるよう,現代のコンピュータの並列化特性を生かした「多倍長精度数値計算」の高速化の研究に力を入れるとともに,深層学習の応用方法や,学習成果の再現性を担保するための研究を進めつつあります。

研究成果の社会での実装、活用シーン

 基本,全ての研究結果は,使用されたプログラムのソースコードをオープンにすることで社会に還元しており(WebGitHub),桁数を増やして計算したい開発現場で利用されているようです。Webで公開している基本演算部分のマニュアルの翻訳などは毎日頻繁に参照されています。あまり人目に付かないところでは,スーパーコンピュータ向けの多倍長精度計算用MPIライブラリ(MPIBNCpack)は諸外国でも使用されることがあります。

高校生へのメッセージ

 すぐには理解できないことを楽しみましょう。日常生活とは異なる数学理論や概念を実感として理解するには時間がかかります。まずは「分からない」という感覚から出発し,友達,先輩,教員との議論や,プログラミングによる実装を通じて,「分からないことが分かるようになった」経験を積み重ねていって下さい。大学生活はそのための重要な「分かるためのプロセス」を体験する重要な時間になります。紋切り型のSNSとは真逆の,少しずつ理解する学問の面白さを味わって下さい。